Asia Marketer's コラム

中華圏、東南アジアでの出来事をお伝えしていきます。

【中国】実演販売のオンライン版 “ライブコマース” の現状と浮き彫りになった課題点

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中国メディア「明報」より

中国のライブコマースは現地ユーザーが最も重要視する“クチコミ”の発展型で2012年時点、中国SNSユーザー数の高いWeiboやWeChatでオピニオンリーダー的な存在が利用し写真や動画でフォロワーむけに発信し、市場が活況となった。これに着目した中国EC業界シェア1位のタオバオが2016年に先駆者となり自社及びグループ会社のソリューションを活用し展開。それに続き大手ECプラットホーム会社や動画配信運用会社が、サービスを開始した。これによりライブコマースで“物を買う”が定着し、2017年時点でのライブコマース年間売上が190億元であったが2019年では4338億元、2020年では9610億元が予測されている。(データ元:iiMediaResearch) そのため、現状の中国のネット販売戦略では欠かせない販売手法の1つとなっっており2020年6月18日商戦では新型コロナ禍では外出しにくい環境下において、消費者との販売接点として重要な役割を果たした。

ライブコマースを利用する“ユーザーの声”(以下VOC)でも「使用感がリアルに伝わってくる」「配信側とソーシャルなやりとりができる」などの理由の他、最も購入理由が高かったのが「低価格」や「費用対効果の高さ」であった。一方で、「オピニオンリーダーが好き」などが購入理由シェアの半数弱を占める結果でもあった。

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一方でネガティブなVOCやトラブルも少なくない。「ライブ配信で紹介された商品と手元に届いた商品が違う」「ライブ配信者の誇大表現」や「アフターサービスがない」など、商品ブランドに多大なる悪影響を及ぼすVOCがライブコマース利用者のうち37%もあった。(データ元:中国消費者協会)

これを受け中国政府の発表では、「管理を強化し、オピニオンリーダーによる商品販売の調査を実施、模造品販売や誇大表現に対する厳格な処罰を与える」などの方針を表明。

 

これら両軸のVOCを基礎情報とした改善対策は言うまでもないが、出品企業の

出品考査や基準などのハードルがさらに高くなることも予測される他、ライブコマースとの出品契約をする際の、広告の代わりに卸率を安価に設定した商品PR手法についても、通常期での販売が難しくなりブランドイメージをチープなものに変えていく原因ともなりうるであろう。